これは、オーストラリア留学中に通っていた語学学校で起きた出来事です。
色んな国籍の人たちが集まる語学学校は、日々カルチャーショックに溢れていました。
その国民性の違いは、時としてトラブルを生むことがあります。
この記事では、クラスメイトが語学学校の先生を泣かせてしまったエピソードについてゆるい感じで書いています。
こんな人におススメです。
- 外国人の文化に興味がある方
- 海外の語学学校の雰囲気に興味がある方
- オーストラリア留学に興味がある方

私のクラス
愉快なクラスメイトたち!
まず簡単にクラスの構成をご紹介!
クラス全体は16人で、国籍の構成はこんな感じ!
- 日本人 … 4人
- タイ人 … 3人
- コロンビア人 … 6人
- ブラジル人 … 1人
- スペイン人 … 2人

非常勤の先生がやってきた!
やってきたのは新米講師
私のクラスは、Upper Intermediateといういわゆる上級のクラスでした。
そのせいか、講師はベテランの人が担当しており、みんな担任講師の授業に満足していました。
しかし、ある週の2日間は担任の講師が来られないということで、非常勤の先生に代わることになりました。
そこにやってきたのは、20代前半に見えるオーストラリア人の女性講師!
失礼かと思ったので詳しくは聞いてませんが、おそらくはまだ新米の方でしょう。
クラスメイト達は皆、普段と講師が違うことも納得していましたし、教え方に不慣れであることはリスペクトしていました。
少し苛立つクラスメイト達
講師という仕事はやっぱり大変なんですね。
新米講師さんの授業は少したどたどしい様子で進み、生徒から出てきた質問にも上手く答えられないような場面が何度かありました。
授業を受けているこっちが心配になるようなシーンもちらほら。
「先生頑張れっ・・・!」なんて心の中で応援してました(笑)
とはいえ、上級クラスだけあってみんな勉強熱心。
高いお金を出して海外で授業を受けているわけですから、いくら不慣れな先生とはいえこういう授業はちょっと受け入れ難く、ちょっとイライラしてきてしまいます。
国民性からでしょうか。スペイン人の生徒は、普段から授業の方針の希望を講師に意見することが多く、この日も先生の提案したアクティビティに意見を言ったりしていました。
(もちろん、優しく提案するように言うだけです。)

そしてひと悶着
文化ごとに違う時間感覚
スペインの人たちは、日本人に比べるとちょっとだけ時間にルーズ。
授業に数分遅れてきたり、休み時間の後も何分か遅れて戻ってくることは全く気にしません。
この日も、スペイン人学生の2人は休み時間後に2分ほど遅れて戻ってきました。
すると、講師が優しく注意しました。
「あなたたちは2分くらい遅れて戻ってきたから、次から注意してね。」
と言った感じでしょうか。
当然、講師の言うことが正しいので、これにはスペイン人も納得して素直に謝って席に着きます。
こういう生徒の遅れに対して講師が何かを言うというのは珍しかったので驚きましたが、「非常勤の先生だし、ルールは守るように言われてるのかなぁ?」と納得していました。
しかし、これが後に騒動の発端になるのです・・・。
筋を通すのがスペイン流?!
この非常勤講師の授業は2日間続きました。
2日目の朝、スペイン人は時間通りに教室に着き、講義が始まるのを待っていました。
語学学校に時間通りに来る生徒はクラスの半分程度しかいませんし、講師も5分程度遅れてくるのは日常茶飯事です。
なので、この日に講師が3分ほど遅れて教室に入ってきたことには私は何も思いませんでした。
しかし、前日に注意されたスペイン人にとってはそうではなかったようです。
スペイン人生徒の一人が先生に向かって言いました。
「あなたは今3分遅れて入ってきたよ。次から時間通りにきてね。」
前日の講師のように優しい口調でしたので、私も「まぁ、確かになぁ・・・」って感じでした。
しかし、講師はすっかり驚いてしまったようで、しどろもどろになってしまいます。
「エレベーターも来なかったしいろいろと準備もあったから・・・」と弁明していました。
でも、それだけでした。朝は。
それ以外のことは普段と変わらず、講義が始まりました。
校長先生がやってきた
その日、2時間目の後の休憩時間が終わって、みんないつものように教室に戻ってきます。
私は、クラスメイト達と会話をしながら普段通り講義が始まるのを待っていました。
・・・しかし、講師が来ない。
上にも書いた通り、時間にルーズな人が多い環境だったので、特に気にもせずお喋りしながら待っていましたが、20分経っても帰ってこないのです。
流石に教室もざわつき始めます。
すると、知らない講師が一人やってきて、スペイン人講師を呼び出して外に出て行きました。
・・・なんか変だぞ? と教室のみんなも訝し気です。
15分後、そのスペイン人が戻ってきて、もう一人のスペイン人が呼び出されてまた出て行きました。
「先生が廊下で泣き始めたらしいよ」
戻ってきたスペイン人学生がすごく不機嫌そうに言いました。
半分以上の生徒は遅刻してきて朝のやり取りを見ていませんから、「え?!なんで?」というムードでざわつきます。
その10分後、ざわついた空気の中にもう一人のスペイン人も戻ってきました。
やはり不機嫌そう。
その後、入学式以来見ることが無かった校長先生が入ってきたではありませんか!
「じゃあみんな!今日はこれから私が授業するからね!普段こんな機会は滅多にないからみんなはラッキーだぞ!」
みたいな陽気な感じで、何事も無かったかのように授業が再開されました。
その後、誰も授業中に非常勤講師については話題にしませんでした・・・。

その後のこと
情に厚いコロンビア人
授業が終わり、教室を出てみんなで食事をすることになりました。
話題は当然、泣いてしまった先生の話です。
クラスメイトの一人は、コロンビア人の男性でした。彼は全身に入れ墨を入れたガタイの良い、若干不良っぽい感じの見た目です。
しかし、そんな彼が言った言葉が今でも印象に残っています。
「今日の授業は悲しかったね・・・。俺は人が泣いてるのは嫌いなんだ・・・。」
別のクラスメイトのブラジル人女性も似たことを言って、自分まで泣きそうになっていました。
南米出身の人たちはとてもフレンドリーで暖かいと思ってはいましたが、「こんなにも他の人のことを気にかけるのか・・・」と少し感動しました。
同時に、社会人になって少しドライになっていた自分がちょっと悲しくなりました (笑)
スペイン流リスペクト!
事の発端ともいえるスペイン人たちですが、やはり色々と納得がいかない様子でした。
先生に呼び出されたときも怒られていたわけでなく、先生方とディスカッションをしていたようです。
「あの先生は確かに若かったけど、それでも大人だ。私も大人だ。だからきちんと話し合って物事は解決していくものでしょ?何も言わずに逃げ出してしまうなんて、まるでティーンエイジャーのような振る舞いだ。」
と憤慨していました。
この事件の前にも、このスペイン人たちとカルチャーについて話し合ったとき
「私たちは相手と正直に話をするのに怯えたりしない。お互いにリスペクトがあれば正直に話しえるし、それがスペインの文化だよ。そこは日本とは違うかもしれないね。」
と話していました。
私はこのスペイン流リスペクトがとても好きです。
でも、新人の講師には、ちょっとプレッシャーが強すぎたのかもしれませんね。

文化の違いは時に悲しい結末を生む
この出来事は、文化の違いや、講師という仕事の大変さを私に教えてくれました。
これを友達に話したときの反応で、その人の価値観なども知れてとても面白いです。
留学中に文化の違いで傷つけられたり、他の人に不快な思いをさせてしまうことは良くありました。
ですが、こればかりは注意しても避けきれないと思いますし、こういう経験こそが私たちの視野を広げてくれるんだと思います。
他国流のリスペクトを知るためにも、是非とも海外の人達と関わってみてください。